だれかが起こした行動が波紋を生み出し広まってる

「はじめに」
 最近、自分が不動屋に行き売買に関する相談をもちかけた事で我が家の所有する資産全体にスポットがあたり、一部の資産がどうにもならない前に手を打てる状況になったことがある。ほんの小さな相談事から始まった、そんな我が家の小さな波紋を紹介したい。

「きっかけ」 


 高齢の両親が所有する資産(不動産)の売却を今、考え直すいい機会に最近恵まれた。コロナ禍や企業への採用の厳しさがより増す一方、現在居住しているマンションのローンがジワジワと首を締付けてくる。普通にあった日常生活を圧迫してきたので、両親なき後を考慮しマンションの売却を検討することとした。不動産会社からの連日に渡る激しいチラシやビラの投函。人によってはありがた迷惑この上ない強引行為だが、ちょうど我が家には渡りに船。担当者と連絡をとり、翌週お会いすることに。今住んでいるマンションをどう動かしたり維持していったりすれば、家族が衣食住幸せな晩年を送れるのかを第一に考えたいくつかのプラン作成をお願いした。親身になってプランをご提案頂いたが、今はロ-ンを滞りなく払い続けて、家族構成に変化が生じたとき改めて住まいは考えたほうが得策といえそう。より小さな維持費で済む物件があるからそちらに住み替えることで家族内での意見は一致した。
 別件で、今から40年くらい前に更地で父が購入した田舎の土地が残っている。父が亡き後、相続対象となり残されたご親族様はその対応に追われて大変になるから、まずはこちらを早めの段階で処分してすこしでも手元に現金をえておいた方がいいとの提案があった。ちょうど父も手放す機会は年齢的にラストチャンス。ここしかないと思ったらしく、この田舎地売却に向けての売却活動が始まった。高齢な父を全面的にサポートする役は長男の自分の役目なので、土地の処分がおわるまでの長丁場を想定しながら、手探りでやっていくしかないと再度気を引き締めて取り掛かることにした。

「まさかの農地」


 ちょうど父が田舎地を購入したときは、駅前を区画整理するので、畑から宅地や賃貸駐車場などに地目変換される事が決まっていた。それを見越してちょうど老後のすみかにするべく、一生懸命働いてその駅前地をそこそこの高値で購入したそうだ。場てっきり父自身は地目変換で宅地になった状態のものを購入したものと思っていたし、問題なければすぐにでも売りに出そうと話していた。ただし、どうやら父の購入した土地の一部が畑のまま地目変更がなされてない不可解な事実が浮上してきた。場所にもよるが、父の購入した土地は畑のままでは、ジュースが買える買えないくらいの価格にしかならないそうだ。


 父が再度、登記簿謄本や権利書、区画整理事業のときの資料を熟読していくと、何度読み返しても地目が畑になっており真っ青になって、私に相談してきた。「これでは売るに売れない、どうするか」これは農地関連の法律に詳しい専門家に相談したほうがいいと考えたし、ある程度費用負担はあったとしても難しい権利関係へ安易に素人が首を突っ込むのは危険と感じたので、ネット等で調べ臨接の市にある農業関連を専門的に扱う、行政書士の先生へ相談することを父に話して前に進む決断をした。

「光明が見えた瞬間」


 予約をとり、小さなビルの一角にある事務所まで訪ねていった。先生、父、私の三人で今ある手持ちの権利書等の資料、航空写真マップからの田舎地の更地確認、宅地化までのロードマップの作成依頼などをした。日本の農地は、一部の役人及び近隣の農家から構成される農業委員会なるもので管理されており、適切に農地として活用されているかを極めて正確に把握しているそうだ。農業委員会の存在とか始めて知った事だが、日本が農地を厳密に守る姿勢を垣間見たように感じる。先生が自分たちの所有する田舎地を管轄する市役所及び農業委員会へ赴いて、資料だけでは見えてこない正確な現況や情報を、もう少し詳しく調べたい。委員会へ用事もあるので行くのはただでかまわないまら任せていただきたいとの事。1週間以内で答えを出しますとのお返事を頂き、とりあえず第一段階突破で、安心している。畑だった地のまわりも、今は駅前を中心に宅地がびっしり立ち並んでおり、あれを畑とするのはむりがあるから、農業委員会での調査質問にも、宅地許可はほぼおりるとのことだった。まだ完全なる確定ではないが、十分に大きな光明が見えてきた。色々とまだやることがあったり、事務所へ赴いたりという手間はあるだろうが、前日畑、畑と頭のなかをめぐり一睡もできなかった父だが、帰ってきた途端に安心したの熟睡です。その顔を見て自分もひとまず安堵している。


「おわりに」
 区画整理事業による土地の取得にまつわる困りごとが、ちょうど最近発生しこのような記事を書くに至ったが、行政書士先生のお話では「あなた方はとても幸運です。実際購入された方が存命で意志がはっきりした状況下で手続きから売却までおそらく完了可能、子孫のために悲田(美田じゃない)を残さなくていい。大半の方は、農家の次期担い手にこまり、もっと厳しい状況に追い込まれ身動きが取れずやってくる場合がほとんどなのです。土地は田舎地かもしれない。でも自分が見たところ駅チカの角地で50坪ある。決して条件は悪くはないから宅地化できれば十分うれる。どうかこのいい状況を活かしてください。そのためのできるお手伝いはさせていただきます」
 コロナで収入や預貯金が減少し今後を見据えて一度不動産屋へ話を聞きに行ったことで、悲田に気が付き父と私の代で終わりにできることが現実に見えた意味はとても大きい。今回はいい方向にころがりこんで良かったが、悪い方になった場合の判断力も磨いていかねばと思う。当たり前だが、誰かが水辺でなげた小石の波紋が思いもよらぬ形や結果になるのだということを、再認識した出来事だった。はやく昔のように平和に家族で楽しくサイクリングに行きたいとしみじみ感じました。

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